松前町及び松前線沿線の人口変化
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松前町及び松前線沿線の人口変化
【表1 松前町地区別人口推移(人数)】
表1は5年毎の松前町の地区別人口の一覧で、地区は概ね北から順に海岸線に沿って並んでいる。この内、唐津、松城、福山辺りが松前の行政・サービス等の中心地であるが、人口の集中地域は、かつてはそこであったものが、昭和45年頃から集合住宅の建設が進んだ、建石、大磯、豊岡等の周辺部に移動している。
【表2 松前町地区別人口推移(昭和30年を100とする)】表2は表1を基に、昭和30年の人口を100とした5年毎の変化を表している。ピンクで付着した個所は松前町の平均より下回っていることを示し、中心地から離れるに従って減少の度合いが大きくなっている傾向がある。特に大島支所の清部では昭和30年から平成17年の50年間で約32%、大沢支所では平均でも約31%と急激に人口が減っていることが分かる。表2をグラフ化したものが以下の図1である。
【図1 松前町地区別人口推移(昭和30年を100とする) グラフ】これを見ると、全体的に下降傾向である中でも、特に昭和55年からの昭和60年までと、それに続く昭和60年から平成2年の間の減少が大きいことが分かる。この時期は松前線が特定地方交通線に指定された時期、また廃止となった時期と重なっている。如何にこの時期の減少が特異かを示す為に、5年前との比率をグラフ化したのが以下の図2である。
【図2 松前町地区別5年前比較人口増減率 グラフ】昭和55年までは前5年比100%〜90%迄の間で推移していたが、松前線が特定地方交通線に指定された後の昭和60年では大沢支所が80%台前半、大島支所、小島支所でも90%を割り込んでいる。更に廃止後の平成2年では、大沢支所、大島支所が80%を割り込み、小島支所で約85%、本庁でも90%を割っている。この年の渡島支庁も似たような傾向であるが、その率は明らかにい異常である。興味深いのは、松前町の中でも松前中心地から離れるに従って減少率が大きくなっていることで、この理由としては、鉄道廃止により松前の中心地が町としての吸引力が低下したこと、実質的には代替バスでも利便性はさほど変わらないものの、松前線利用に更に長時間路線バスを利用していた層に「汽車がねぇ」といった心理的不安の増長させたこと等が考えられ、松前線廃止が、過疎化に一層の拍車をかけた結果となった。
その後は減少率は改善したが、それでも90%前後で推移しており。5年毎に人口が1割減るといった状況である。
これらを松前町に限らず、江差・松前線沿線と比較するとどのようになるか。まず昭和30年を100としたグラフが以下の図3である。
【図3 江差・松前線沿線人口推移(昭和30年を100とする) グラフ】現函館市域(過去に遡って市町村合併を考慮しています)については、松前とは逆に松前線廃止前後にの時期に人口が増えているが、傾向としては横ばい。現北斗市は函館のベッドタウンとして近年急速に人口が増加している。これ以外はほぼ同じ傾向で、福島町や知内町は、青函トンネル工事関連で一時的に人口が増えたが、工事終了に伴いその効果は消えていることがわかる。
さらに5年前との増減比率をグラフ化したのが図4である。
【図4 江差・松前線沿線5年前比較人口増減率 グラフ】これをみても松前線廃止後の平成2年に松前線沿線の人口変化が特異であり、松前、福島、知内、木古内の4町とも昭和30年以来最大の下げ率となっており、その影響が大きかったことがわかる。福島町ではトンネル工事で人口がプラスに転じたが、その反動で沿線で最も減少率が大きくなっている。知内町もトンネルアプローチ工事や火力発電所建設関連で増加に転じた時期もあったが、これらも工事終了後は定着していない。木古内町は、前3町よりは外的要因が少なかったようである。
一方、江差町、上ノ国町では平成2年の数値が下がっているものの限定的であり、北斗市域は増加率が鈍ったものの増加傾向に変わりはない。函館市域については横ばい傾向である。
以上のように、松前線廃止は松前町のみならず、沿線各町の人口に大きな影響を与え、過疎化の進行や人口の高齢化に拍車をかける結果となった。また人口1万人を大きく割りこむ町も増え、沿線自治体が合併してもメリットはあまりないと判断するに至るところまで来ている。これらの問題に対し、各町は決定的な解決策が見出せず、非常に苦慮しているのが現状である。「北海道新幹線」は最後の切り札でありる。これまでの新幹線新駅や新空港、マイカー周遊型観光政策を徹底的に分析し、地域特産品を生かして、大都市圏から観光客を呼び込める魅力ある地域に生まれ変われるかが今後のカギとなると考える。
資料:各年国勢調査、松前町統計概要
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